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本物を支える the職人 #1 左官

はなまるの家は、技を極めた、こだわりの強い本物の職人さんが丁寧に作っています。

出会いを紡ぐ左官という仕事

どこか近寄りがたく敷居が高い職人の世界。そんな世界をあえてのぞいてみると、見えてきたのは、家づくりに携わる真摯な職人の姿でした。今回は、パイオニアともいえる若き左官職人をクローズアップ。

左官の仕事は生き物、五感で変化を読むのが大切

 藤沢の建築現場に現れたのは、創業46年の老舗、伊藤左官工業の2代目伊藤敏夫さん。かつては社会人野球で腕を鳴らし、29歳で父の後を継いで左官職に転身した経歴の持ち主。

 「誰よりも上手くなりたいという一心で、現場に出て経験を積んできた」と伊藤さん。持ち前の負けん気を武器に、2代目という肩書きに甘んじることなく1級技能士の資格まで取得し、今ではベテランからも慕われる存在に成長。

 最近は若者離れが続き、左官の仕事を知らない人も多いそう。左官とは、下地の上に珪藻土や漆喰を塗って、内外装を仕上げていく仕事のこと。何種類ものコテを自在に操り、あっという間に明るい空間を生み出す様は、実に鮮やか。

 「左官の仕事は生き物です。左官材はとても繊細で湿度によって微妙に変化する素材。だから、常に五感を働かせて、においや塗ったときの音の違いで材料の状態を察する鍛錬が必要。コテを握っている限り、より完成度の高い仕事をするのが課題ですね」。

1度、2度と塗り重ね、常に2ミリの厚さに仕上げるのは熟練の技の賜物。わずかな隙間も逃さず仕上げていくコテさばきは、見とれる美しさ。


さまざまな人との出会い、左官でよかったと思う瞬間

 現在、伊藤さんの大きな目標は、若い世代に伝統を正しく受け継いでいくためにも、左官という仕事をもっとメジャーにしていい人材を育てること。

 「キツイ、汚い、危険なことばかりではなく、左官には日々、出会いという大きな収穫があります。技を教えてくれる親方、何より『ありがとう』と言ってくれるお客さんとの出会いは宝物。そして、その家がある限り続くお客さんとの絆も財産」と、仕事へのやりがいに目を輝かせる伊藤さん。

 実際、現場を見学に来た家主と積極的にコミュニケーションをとる姿は、口下手な職人のイメージを一新させるものでした。ちなみに、現場ではいつも足袋姿だそうですが、メーカーやお客さんとの打ち合せには、スーツで出かけるそう。これも、左官のイメージを変える一歩なのかもしれません。


内装材が注目される今、必要なのは真に優れた技

 最近では自然素材への関心が高まっているため、いい素材を使いこなす本物の左官職人が求められ、再び伝統の技を発揮できる時代が来ると語るその目は、真剣そのもの。伝統の重さを知っているからこそ、これからの左官職を盛り上げようと奮起する伊藤さん。

 「日々繊細な材料を扱い、日々違う現場に出向く左官という仕事には、365日違う発見と出会いがつきもの。こんな刺激的な仕事はないですよ」。そう話す横顔には左官への誇りがみなぎっていました。

職人の命ともいえるのが、百種類はくだらないという道具の数々。1日の終わりには油を塗り、腕のいい職人ほど道具を大事にするとか。



天然日和 VOL.1 掲載記事    ライター:北林あい   カメラマン:才所盛弘
記事・写真の無断転用を禁じます。

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